アーバンギター合奏団 レッスン記 D (佐野正隆)
前回までのあらすじ(初めてレッスンに訪れたアーバンギター合奏団の演奏がバラバラだったので、先生は他の人の音を聞くには演奏に余裕を持つことが必要、また練習量より練習の仕方が大切、そして大きな音を出す方法と楽譜を読めるようになる方法について説明。さらにバラバラにならないためにはリズムの感じ方を合わせることを指摘。そして・・・)
先生:皆さんは結構合わせられていると感じているかもしれませんが、それは今までがあまりにバラバラだったのでそれに比べるとかなり良くなったのであって・・・。
Bさん(はっきりものを言う32歳のB型女性):えーっ、今までの私たちは何だったのですか。
先生:もう一度皆さんだけでこの曲の最初の音だけを合わせてみてください。
(Aさんの合図で全員が弾くが。)
先生:皆さんの音が完全には合っていないことは分かりますよね。
Eさん(定年後にギターを始めたAB型の62歳男性):あたしにゃー、よー合っているように聞こえますがのう。
先生:では私が指揮をしてみますので、よく見て弾いてみてください。
Dさん(某会社取締役 58歳A型男性):指揮を見るのは初めてなのですが、どうやって合わせれば良いのですか。
先生:ではちょっと練習してみましょう。まず私が指揮棒をゆっくり上げますので、これに合わせて頭を少し上げるようにして息を吸ってみてください。次に指揮棒が下がってくるのと同じ動きで指を動かして弾いてください。じゃあ、やってみましょう。(音がピッタリとそろう)
先生:では、これを連続でやってみます。そして、少しずつテンポを変えていきます。
Aさん(責任感の強い48歳女性、血液型Aの団長):こんなにテンポが変わっているのにすごくそろっていましたよね。
Cさん(陽気な20歳O型の女子大生):でも、Fさんの頭の動きが何だかおかしい!
Fさん(入団1年目の30歳O型男性):そうかな。
先生:それは頭だけ上下に大きく振るからおかしいのですよ。上半身全体でリズムを感じてみてください。音が伸びていることを意識して、そのイメージで体が伸び上がるように出来れば良いのですが。
では次にテンポは変えずに棒を振り上げるスピードを変えてみます。速く上がれば息を吸う時間が短くなりますね。その代わり上で止まっている時間が長くなります。(何度も練習する内にどんどん合わせられるようになってくる。)
Aさん:これだけ合わせられれば、先生に指揮して頂けるとこの曲もピッタリ合わせられますね。
先生:だと良いのですが、世の中そんなに甘くはないですよね。今は同じ音だけで練習していますから良く合っていますが、音やリズムが変わったり、左手が移動するだけで合わせられなくなったりします。他の事に気を取られると、指揮を見ることや合わせることに気が行かなくなるのです。要するに演奏に余裕がないと駄目なんですね。あれっ、最初の話に戻りましたね。
もうレッスンが終わりの時間になってしまいました。また次のレッスン日にお会いしましょう。