アーバンギター合奏団 レッスン記 C (佐野正隆)
前回までのあらすじ(初めてレッスンに訪れたアーバンギター合奏団の演奏がバラバラだったので、先生は他の人の音を聞くには演奏に余裕を持つことが必要、また練習量より練習の仕方が大切、そして大きな音を出す方法と楽譜を読めるようになる方法について説明。今回は1ヶ月後のコンサートでバラバラにならないためには‥‥)
先生:皆さんの場合、指揮者無しで演奏しなければならないので結構合わせるのは大変だと思います。他の人の音を聞き取るのにも不安がある上、コンサートホールでは音が前に行くので他の人の音がますます聞えずらくなります。例え他の人の音をしっかり聞き取れたとしても、広いホールでは遠くに座っている人の音が遅れて聞えてきますので、音だけに頼ることは結構危険です。
Dさん(某会社取締役 58歳A型男性):音が遅れるといっても舞台の上くらいの距離だとそんなにずれることはないんじゃないですか?
先生:音速は1秒間に331メートル位でしょう。メトロノーム120で16分音符を弾いたとしたら1秒間に8個の音を弾けるわけです。40メートル離れると16分音符1個分遅れて聞えてくるのです。舞台で端と端の人の距離が10メートルあったとするとその4分の1だけずれるのです。これは結構なずれなのですよ。
Eさん(定年後にギターを始めたAB型の62歳男性):ほー、人間の感覚って結構すごいのですなあ。
Aさん(責任感の強い48歳女性、血液型Aの団長):先生、ではどうすればいいのでしょうか?
先生:体の動きで合わせるのです。ちょっとやってみましょう。(それぞれが体でリズムを取りながらもう一度演奏してみるが、演奏の途中で)
先生:ちょっとストップしてください。リズムの感じ方がそれぞれがバラバラですね。皆さんの体の動きを見ていると“モグラたたき”を思い出しました。
Bさん(はっきりものを言う32歳のB型女性):えーっ、それって私たちはモグラだということですか。
先生:失礼しました。こっちで頭が上がったかと思えば、向こうでは下がっているし、中には全然動かない人もいるし。
Cさん(陽気な20歳O型の女子大生):全然動かないのは壊れたモグラのことですよね。それFさんだ。
Fさん(入団1年目の30歳O型男性):なんだと!壊れているのは頭だけ横に振っているCさんのほうだよ。
先生:まあ、まあ。私の一言からえらい事になってしまいましたね。ところでこの管弦楽組曲のロンドは何拍子か分かりますか?
Dさん:4分の4ですよね。と言うことは4拍子ですよね。
先生:いいえ、拍子記号に縦線が入っているのは2分の2なので、2拍子です。2分音符を1拍としてリズムを取らないと厳密には違う曲になってしまいます。全員で2分音符を1拍としてこの速さで(先生が手をたたく)リズムを取ってみてください。そして自分の弾くメロディーを歌ってみて。感じが分かったらギターで弾いてみましょう。(演奏が終わって)
Aさん:何だかすっきりして、すごくきれいになった感じがします。
Bさん:気持ちいい!
先生:でも、まだ完全には合っていないのですが・・・。 つづく〜